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ファイザーの歴史

Posted on 2023年8月19日2023年8月24日 by 丿貫
yearact                   event
1849ブルックリンにCarles Pfizer & Company設立。
1861南北戦争で消毒剤、防腐剤、鎮痛剤など軍需物資を販売
1868本社をマンハッタンへ移転
1905ファイザーの末息子エミールが社長に就任
1906チャールズ・ファイザーが死去
1919R&Dカビによる発酵法を駆使してクエン酸の大量生産に成功
1936R&DビタミンC(アスコルビン酸)の大量生産方法を開発
1938R&DビタミンB2(リボフラビン)の大量生産方法を開発
1939R&Dクエン酸の大量生産を砂糖の発酵により成功
1941米軍にペニシリン供給開始
1943政府の規制に反して民間のブルックリン・ユダヤ病人にペニシリン供給
1950R&Dテラマイシン(一般名:オキシテトラサイクリン)を開発 初のPfizerブランド薬
1953ファイザー財団を設立
1961マンハッタンのミッドタウンに本社移転
1970社名をシンプルなPfizerに変更。
1971M&Amack illertissenを買収
1972年間売上高が10億ドルを初めて超える
1981FDA抗不安薬ソラナックス(アルプラゾラム)承認
1982FDA消炎鎮痛剤フェルデン(ピロキシカム) 承認
1984FDA糖尿病治療薬グリコトロール(グリピジド)承認 
1986FDA抗生物質ユナシン(スルタミシリントシル酸塩)承認
M&A抗生物質ジスロマックの権利をクロアチア製薬会社プリバから取得
1990FDA降圧剤カルデナリン(ドキサゾシンメシル酸塩)承認
FDA抗真菌剤ジフルカン(フルコナゾール)承認
1991FDAゾロフト(セルトラリン)、ジスロマック(アジスロマイシン)承認
1992FDA降圧剤ノルバスク(アムロジピンベシル酸塩)承認
1995M&Aスミスクライン・ビーチャムの動物衛生部門を買収
1996FDA高脂血症治療薬リピトール(アトルバスタチンCa)承認*まだWL社の薬
FDA緑内障治療薬キサラタン(ラタノプロスト)承認
1997合併先のワーナーランパードとマーケティング提携してリピトールを発売
1998FDAED治療薬バイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩)承認
FDA消炎鎮痛剤セレブレックス錠(セレコキシブ)承認
2000M&Aワーナーランパードと合併→主な資産:リステリン、クロレッツ、リピトール
FDA抗生物質ザイボックス(リネゾリド)承認
2001FDA抗精神病薬Geodon(ジプラシドン)承認
2002FDA片頭痛治療薬レルパックス(エレトリプタン)承認
2002FDA抗真菌薬ブイフェンド(ボリコナゾール)承認
2003M&APharmaciaを買収:主な資産:サラゾピリン(サラゾスルファピリジン)
2004ダウ平均株価の構成銘柄になる
2004M&AMeridicaを1.25億ドルで買収
M&AVicuron Pharmaceuticalsを19億ドルで買収
2005M&AAngiosynを2.57億ドルで買収
2006FDA抗がん剤スーテント(スニスチブ)承認
2009M&AWyethを680億ドル→主な資産:プレマリン、イフェクサー(ベンラファキシン塩酸塩)
2010M&AKing Pharmaceuticalsを36億ドル→主な資産:エピペンと動物用医薬品
2011FDA抗がん剤インライタ(アキシチニブ)承認
FDA抗がん剤ザーコリ(クリゾチニブ)承認
2012FDAJAK阻害剤ゼルヤンツ(トファシチニブ)承認
2013分社アニマルヘルス部門ゾエティスをIPOし22億ドルを調達
2015M&AHospiraを170億ドル→主な資産:ジェネリック注射薬
FDA抗がん剤イブランス(パルボシクリブ)承認
リンパ管平滑筋腫症治療薬RAPAMUNE(シロリムス)承認
2016M&AMedivationを140億ドル→主な資産:抗がん剤イクスタンジ(エンザルタミド)
M&AAnacor Pharmaceuticalsを52億ドル→主な資産:Eucrisa(Crisaborole)
2017FDA抗がん剤ベスポンサ(イノツズマブ オゾガマイシン)を承認
2018FDA抗がん剤ローブレナ(ロルラチニブ)承認
FDA乳がん治療薬Talzenna(タラゾパリブ)承認
FDA急性骨髄性白血病治療薬DAURISMO(グラスデジブ)承認
2019R&DBioNTechとmRNAベースのインフルエンザワクチンに関する共同研究を開始
M&ATherachonを8億1000万ドル→主な資産:軟骨無形成症のsFGFR3開発プログラム
M&AArray BioPharmaを110億ドル→主な資産:MEK阻害剤メクトビ(ビニメチニブ)
FDAアミロイドーシス治療薬ビンダケル(タファミジスメグルミン)承認
2020分社ヴィアトリスを設立
2021M&AArena Pharmaceuticalsを67億ドル→主な資産:潰瘍性大腸炎治療薬候補etrasimod
M&ATrillium Therapeuticsを22億ドル→主な資産:チェックポイント阻害剤TTI-622
FDA新型コロナウイルスワクチンCOMIRNATY 承認
FDA新型コロナウイルス経口治療薬パキロビッド 承認
2022M&ABiohaven Pharmaceutical を116億ドル→主な資産:片頭痛治療薬Nurtec(rimegepant)
M&Aglobal blood therapeuticsを54億ドル→主な資産:鎌状赤血球症治療薬Oxbryta(voxelotor)
FDAアトピー性皮膚炎治療薬サイバインコ(アブロシチニブ)承認
2023M&ASeagenを430億ドル→主な資産:抗がん剤アドセトリス (ブレンツキシマブ ベドチン)
M&A片頭痛治療薬Zavzpret(Zavegepant)承認
FDA円形脱毛症治療薬リットフーロ(リトレシチニブ)承認
FDA難治性多発性骨髄腫薬Elrexfio(エルラナタマブ)承認

1849年:創業期

1849年、ドイツからの移民チャールズ・ファイザー(化学者)とチャールズ・エアハルト(菓子職人)がアメリカのブルックリンでCharles Pfizer & Co.を創業。

初期のファイザーは既製品を大量に生産したり、苦味がある薬に甘味をコーティングして販売したり今の新薬メーカーなファイザーとはかなり違う会社だった。

https://rx-mastery.com/pharmaceutical-company-2

初期のファイザーが飛躍する大きなきっかけは1861年に起きた南北戦争。

軍需物資の痛み止めや鎮痛薬などを供給して売り上げを伸ばす。ファイザーはWW1でもWW2でも米軍に医薬品を供給しているので米軍はお得意様。ただ戦争が終わってしまったらその需要は無くなるので平和な時代でも売れるものを考えたファイザーはその頃に流行していたコーラ製品に注目する。

コーラには色々なものが入っているがその中の成分に酸っぱくて疲れも取ってくれるクエン酸がある。これからクエン酸の需要が伸びると考えたファイザーはクエン酸の大量生産に乗り出す。

ファイザー製のクエン酸

それまでのクエン酸は柑橘類をヨーロッパから輸入してそれを発酵させて精製させていた。しかしファイザーは発酵技術を進化させ柑橘類に頼らずに合成する方法を開発して大量生産に成功。

第二次世界大戦が始まるとまた軍需物資の需要が高まった。しかし今度はこれまでに無い奇跡の薬を大量に製造しろと米政府から指示を受ける。その奇跡の薬は抗生物質ペニシリン。

奇跡の薬ペニシリン

第二次世界大戦がはじまると連合国軍にペニシリンを大量に供給する。このペニシリン大量生産はクエン酸から始まった発酵技術を進化させた深部発酵法により可能となった。

戦争が終わってからはペニシリン以外にもリボフラビンやアスコルビン酸といったビタミン剤も発酵技術により大量生産。ビタミン剤製造においてファイザーは大きな成功を収めた。

しかしビタミン剤やペニシリンはファイザーが特許を持っていたわけでないので作っても利幅が小さい。そこでファイザーは自社開発の薬を開発しようと決意する。

1950年~:抗生物質の時代

テラマイシン

ファイザーが開発した新薬第一号はテラマイシン(オキシテトラサイクリン)。

地球(テラ)上全ての大地を探索して開発した抗生物質ということで名が付けられた。この薬は誕生して70年以上経過しているがまだ現役で使われている大ヒット薬。

ファイザーはコロナウイルス薬や高脂血症治療薬リピトールのイメージが強いが新薬メーカーとしての起源は抗生物質。なのでその他にも重要な抗生剤を開発してきた。

ユナシン、ジフルカン、ザイボックス、ジスロマックなどは2023年現在でも臨床で使われている薬。(ジスロマックはクロアチアの製薬会社プリバから販売権利を獲得)


ただ抗生物質は基本的に長期服用しないので売上的には弱い。(抗生物質として最高に売れたジスロマックのピークが年20億ドル)

なので今度は継続して売れる新薬を探し続けた。

1990年代:生活習慣病薬の時代

ファイザーが渇望した継続して売れる薬が1992年に誕生。

その名は降圧剤ノルバスク(アムロジピンベシル酸塩)。

ノルバスク錠Norvasc Tablets

ノルバスクのピーク時は48億ドルと抗生物質では到達できない売上を達成。高血圧など生活習慣病の薬の売り上げは安定しやすい。


ただよく売れる生活習慣病の薬の中でもノルバスクの売り上げは突出していた。強さだけならノルバスクと同等のカルシウム拮抗薬は存在するが半減期の長さでノルバスクに匹敵するものは無い。強さでなく長さで世界一選ばれた降圧剤がノルバスク。

この降圧剤ノルバスクがファイザーを今のメガファーマにした一つの原動力。他にもファイザーにはα遮断薬カルデナリン(ドキサゾシン)やSSRIゾロフト(セルトラリン)といった売上が年10億ドルを超える薬があり1990年代のファイザーを支えた。


2000年代に入るとそれらの薬が特許切れになるので大型買収を何個も行う。数兆円規模の買収は1990年代のノルバスクなどで稼いだ資金が無いと行えなかったはず。

2000年代:ファイザーモデル(大型買収)の時代

ワーナー・ランパードの株券

2000年に入るといきなりワーナー・ランパードを900億ドルで買収。この買収目的はWLが権利を保有していたリピトール(アトルバスタチンCa)。世界初の年間売上高100億ドルを達成する薬。

リピトール錠Lipitor Tablets
2023年現在はヴィアトリスへ販売移管している

アメリカン・ホーム・プロダクツもワーナーランパードに買収を仕掛けたが札束合戦にファイザーが勝利。無事にリピトールはファイザーの手中に。この買収はファイザー史上最大の賭けだったが見事に吉となった。

欲しい薬があれば製薬会社ごと買収して手に入れるファイザーモデルへの批判はこの頃から。

だが元々リピトールを開発していたのはワーナーランパードが買収したパークデービス社。より大きな製薬会社が勝つ競争に勝っただけ。

Parke-Davisの株券

ワーナーランパードはリステリンやクロレッツなど市販品に強みがある会社だったがパークデービスは医療用医薬品の開発に強みが持っていた。

パークデービスが開発した薬を挙げると精製した純粋なアドレナリン、フェンサイクリジン(PCP)、ケタミン、クロラムフェニコールなど重要なものが多い。そのパークデービスが最後に世に送り出した薬がリピトール。


そしてこのリピトールを手に入れた2000年がファイザー株の頂点だった。以降2009年まで株価は右肩下がり。世界で一番売れる薬を手に入れて株価が最高値から4分の1日なるのだから投資は難しい。

ファイザー株の推移

2010年代:抗がん剤へ

2010年代は生活習慣病の薬でなく抗がん剤分野へ注力。自社開発や買収によってザーコリ、スーテント、イブランス、イクスタンジ、ベスポンサなどそこそこ成功している抗がん剤ポートフォリオを構築している。

しかしメルクの抗がん剤キイトルーダが200億ドルを軽く超える売上なのでファイザーのオンコロジー領域は小粒な印象。一番売れている乳がん治療薬イブランスは50億ドル売れているがピークは過ぎているし特許切れが近い。

2023年には久々の大型買収を行いSeagenを430億ドルで手に入れ抗がん剤領域を強化したが売上的には微妙。コロナウイルスのコミナティが2年間で740億ドル売れたのでそのボーナスでSeagenを手に入れたと思えば悪くないか?

ファイザーの製品で勢いがあるのはブリストルとの共同販売である血液サラサラ薬エリキュースだがこちらも特許切れが近い。

今のファイザーにはイーライリリーのマンジャロのようにこれからの10年を支えるような薬が無い。なので株価が低迷している。配当利回りは4%を超えていてインカム投資家には魅力的に見えるかもしれないが個人的には積極的に投資したいとは思わない。

だが今は破竹の勢いであるイーライリリーも10年前は主力製品ジプレキサの特許切れ等で株価は低迷していた。そのときに株を買っておけばリターンは10倍に。後から振り返ってみたら今がファイザー株の買い場だったということもあるだろう。

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