Skip to content

Rx-Mastery

Menu
  • [投資まとめ]
Menu

SGLT2阻害薬の一覧

Posted on 2024年4月18日2024年4月19日 by 丿貫


SGLT2(ナトリウム・グルコース共役輸送体2)阻害薬の基本骨格は6成分共通している。

リード化合物はフロリジン。

フロリジンとはリンゴや梨の皮に含まれる天然物。じゃあリンゴダイエットしたら痩せそうと思うが残念ながらフロリジンは腸管のβ-グルコシダーゼで加水分解され尿糖排泄促進作用を示さない。

なのでSGLT2阻害剤は化学構造を修飾されて製剤化されている。

SGLT2阻害薬は2つのグルコーストランスポーター(SGLT1とSGLT2)のうち、主にSGLT2を選択的に阻害して尿中へのグルコース排出を促す。

食事から摂取した糖は、腎臓の糸球体で血液から原尿へ出て、近位尿細管に入り血液へ再吸収される。この時の取り込みに働いているのがSGLT2というタンパク質。

SGLT2は近位尿細管に存在しておりグルコースの90%以上を再吸収する主要なグルコーストランスポーター。SGLT2阻害によりこのグルコース再吸収が抑制されるため尿中へのグルコース排出が増加し血糖値が低下。

一方のSGLT1は筋や骨格筋、小腸など様々な所に発現しており副作用につながるためSGLT2選択性の高い薬剤を求められ開発された。

この説明だとSGLT1阻害作用が悪いだけの印象になるが小腸でのSGLT1阻害作用により小腸からの糖吸収が抑制されたりもする(SGLT2選択性が低いカナグリフロジンは食後2時間の糖吸収量が有意に減少)。



SGLT2阻害薬は尿量が増加するので基本的に朝に服用することになっているが食事の影響を受けないので食前でも食後でも服用可能。

作用機序として既存のSU剤やDPP`4阻害剤と被らないので併用が可能。むしろSGLT2阻害剤とDPP4阻害剤を合体させた合剤も販売されている。


効能・効果の違い

  • 2型糖尿病には6剤全て適応あり
  • 1型糖尿病に適応があるのはイプラグリフロジンとダパグリグロジンの2剤
  • 慢性腎不全に適応があるのはダパグリグロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン

作用機序としてインスリンが関与しないのでインスリン分泌能そのものに問題があるⅠ型糖尿病にも適応を持つ薬がある(イプラグリフロジンとダパグリフロジン)。


慢性心不全に適応を持つ薬はダパグリグロジンとエンパグリフロジン。ただ無条件に使用できるわけではなく標準的な治療を受けている患者に限るとの制限がある。つまり他にも心不全の薬を使ったり処置を受けていない患者には使えない。

慢性腎不全にも制限があり腎不全や透析など腎機能が著しく低下している場合は使えない。余分な糖を尿に出すのに尿が出せないと服用するが意味ない。

カナグリフロジンは更に制限があり「2型糖尿病を合併する」慢性腎臓病にしか使用できない。

エンパグリフロジンは10mg錠と25mg錠の2種類だが慢性心不全と慢性腎不全には10mg錠しか使えない。(25mgは糖尿病に適応あり)。25mg錠はSGLT2阻害薬で最も薬価が高くコスパ的に微妙。


SGLT2阻害剤の副作用

  • 脱水
  • 腎盂腎炎
  • 皮膚炎
  • ケトアシドーシス

SGLT2阻害剤の特徴的な副作用に脱水がある。余分な糖を尿に排泄するのは良いのだが体内の水分も出やすくなる。増加する尿量は1日約300mL以上と言われているので夏場などは意識して水分補給。

尿中の糖が増えると尿路感染症も起こりやすい。尿中に糖が存在すると細菌にとっては繁殖しやすい。尿路感染症リスクはプラセボと比較して1.5~2倍に上昇する。特に高齢者や女性は尿路感染症のリスクが高くなる。

重篤な副作用としてはフルニエ壊疽や敗血症がある。フルニエ壊疽は重篤な感染性皮膚筋膜炎の一種で急速に進行する生命を脅かす疾患。尿中に糖が増えると易感染性となる。

皮膚炎など薬疹が起こりやすいのもSGLT2阻害剤の特徴。こちらはなぜ起こるのか現在不明。SJSなどの重症薬疹も起こるので痒みが出たら要注意、服用中止しても治らなければ皮膚科へコンサルト。

ケトアシドーシスはSGLT2阻害薬だけでなく低血糖になると起こりやすい。糖質抜きダイエットをしてもケトン体が生成する。

なぜケトン体ができるかと言えば糖が無いと体内の脂肪酸を分解してエネルギーにしようとする。その分解過程でβ-ヒドロキシ酪酸やアセト酢酸といった酸性物質ができ血中pHが低下してケトアシドーシスという状態に陥る。

つまりケトアシドーシスはSGLT2のクラスサブエフェクトというより低血糖症状共通の病態。


それぞれの薬                 

スーグラ一般名:イプラグリフロジン L-プロリン
SGLT2(sodium glucose co-transporter 2)のローマ字部分 S・G・L・Tから。日本初のSGLT2阻害薬。一型糖尿病にも適応あり。SGLT2選択性は類薬と比較して低い。DPP4阻害剤シタグリプチンとの合剤スージャヌがある。
デベルザ一般名:トホグリフロジン水和物
「de beleza」はポルトガル語で「美」を意味する。余計な糖を体内から排出し「Inner beauty」を取り戻すらしい。中外、サノフィ興和の三社共同。特徴は半減期の短さ(5.4h)でSGLT2阻害薬で最短。それ故に夜間頻尿が起こりにくい。規格が20mgだけでシンプル
ルセフィ一般名:ルセオグリフロジン水和物
Luseogliflozin+fineから命名。大正製薬が開発。O-グリコシド結合を代謝的に安定な C-グリコシドに変換し経口吸収性を改善した。SGLT2阻害薬として世界初のODフィルムを発売。規格が2.5mgと5mgがあり標準量2.5mgでイマイチなら5mgに増量が可能。
フォシーガ一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物
「for」とinhibit glucose absorptionの頭文字「iga」の掛け合わせ。世界で最も売れているSGLT2阻害薬。長所はいつでも服用可という点。他の5剤は「朝」の指定がある。そして適応も糖尿病以外に慢性腎不全と慢性心不全を持つ。
カナグル一般名:カナグリフロジン水和物
「Canagliflozin」と「Glucose」、健康な人と変わらない日常生活を過ごしたいDM患者さんの希望を「かな(CANA)える」。SGLT2選択性は低い。2型糖尿病を合併する慢性腎臓病にも適応あり。
ジャディアンス一般名:エンパグリフロジン
Ja(ポジティブ,ドイツ語の”Yes”)と Radiance(輝き)から命名。製薬会社がドイツだからドイツ語。EMPA-REG OUTCOME試験で偽薬と比較し心血管イベントリスクを3割以上減少。リナグリプチンとの合剤トラディアンスは腎機能低下にも使いやすい。

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

Categories

  • クスリ
  • 写真
  • 投資
© 2025 Rx-Mastery | Powered by Minimalist Blog WordPress Theme